ヴィラ=ロボスのエチュード7番トリル部分

ヴィラ=ロボスのエチュード7番と言えば、高速のスケールとアルペジオが美しく、最後のほうに出てくるトリル(トレモロ)が印象的な曲です。

そのトリルの部分ですが、楽譜の表記が3本線の部分とTr表示部分が表記が混在していることが昔疑問でした。

楽譜では下記のようになっています

1拍と2拍は太い三本線がトレモロの記号で、

3拍はtrのトレモロとなっています。

これに関しては後になって自分なりに意味がわかりました。

エチュード7は#が4つのホ長調のキー(E音を主音とする長調。 調号はシャープ4箇所 (F, C, G, D))ですが

トリルで使いたい音を明確にするために、

1拍目はでは本来のシャープにすべき4箇所 (F, C, G, D)と音がかぶり

2拍目は1拍目ですでに臨時記号のついた音符とかぶるので

  • 1拍目はファのナチュラルとソのナチュラルをトリルしてね。(ソ#ではないからね)
  • 2拍目はソのナチュラルとラのナチュラル(ラ♭ではないからね)をトリルしてね

そのことを伝えるために、このように表記したのだと思いました。

それを言うなら

3拍目もそのまま3本線でもよかったような気がしなくもないですが・・・。

こんどはトリルの回数の問題ですが

太い横線の本数が3本ところは32分音符の刻みで弾くとするならば
正確に楽譜で書き表すと、下記になります

もし文字通り32分音符で弾くなら1拍に8個分の32分音符が入ることになります。
が、実際にはこの曲で8個入れるのはかなり難しいです。

そこで、音符の数ではなく両端の音符の長さ分だけ音符を32分音符の早さで繰り返すことを示しているという解釈もあるようです。

楽典的にはトレモロには以下の書き方があると記されています。

【単音のトレモロ】

1 音が繰り返されます。

【重音のトレモロ】

複数の音符 (通常は 2 つ) が連続で演奏されます。これはトリルに似ていますが、トリルが 隣接する 2 つの音符を素早く交互に演奏することに対し、重音トレモロに使用する音符の制限はありません。

下記の場合は

このように弾きます

しかし、ヴィラ=ロボスのエチュード7に話を戻すと

3本線がかかっているのは和音全体ではなく

上の声部のみとなっています。

なので、多くのギタリストは

3本線の部分とTr表示部分の表記のところは

下記のようにトリルで弾いている人が多いです(指は1312と交互にする人が多いです)

セゴビアやブリームはトリルではなく早いアルペジオにして弾いています。
これも素敵です。アルペジオなら8個入れることも可能ではあります。

どちらの弾き方でも、演奏にあたって、気をつけなければいけないのは
3 拍目は、さらに半分の長さがある音符であることです。

大事なことは、しっかり音の長さに気をつけながら、
音符を震えるように細かく繰り返して、独特の表現豊かなニュアンスを与えることができるか、かもしれません。