ギターも中級以降になるとたくさん装飾音符が出てきます。
「装飾音」とは、隣接する音を付け加えたりすることによって、音を飾ること。
小さい音符(装飾音符)で記されるものと、記号(装飾記号)で記されるものがあります。
ギターの場合は同弦で弾ける場合はほとんどがスラーとなります。
また復弦にまたがって弾く場合もあり、どちらを選ぶかは弾きやすさや音楽的な流れ等で総合で判断します。
装飾音符の世界は奥が深すぎるので、
今回は生徒から質問を受けた3点のみに絞って書きたいと思います
なぜバロックには装飾が多いのか
バッハの活躍したバロック時代は装飾音符がふんだんに多用されて演奏されていました。特に拍の頭。
これは当時の演奏が装飾を重視していた為です。
楽譜の音符だけを演奏するのはあまり芸がないとされ、
書かれた音符にどんな装飾をおこなうかで奏者は自分の技量を発揮することができました。
今で言う、かっこいいアドリブを加える・・・みたいなニュアンスでしょうか。
長前打音が結局、半分の長さで弾くというなら、なぜわざわざ装飾音符で書くのか、
小さい音符(装飾音符)で記される装飾音には2種類あります
●長前打音
小さな8分音符や4分音符が親音(主音)に追加され、装飾されている音符の1/2(付点音符は1/3)の長さを使って演奏します。
長前打音 – 装飾音が親音の半分の長さとなる。
・・歌うなら(タが装飾音、リが親音とする)、『タリタリ』(タとリが同じ長さ)
●短前打音
短前打音は斜線が加えられた小さな音符が尽きます
素早く親の音につけわえるようなイメージ
・・歌うと『タリーータリーー』(タが短く、リーが長くなる)
そこで生徒から疑問、
「長前打音が結局、半分の長さで弾くというなら、なぜわざわざ装飾音符で書くのですか?、
普通の八分音符ではダメなのですか?」
長前打音はバロック時代に多く使われました。
非和声音(ひわせいおん)と和声音を区別するためと言われています。
非和声音とは旋律などを装飾するために用いられ、その時に鳴らされる和音に属さない音のこと。
わかりやすく言えば、これは『隣接音(倚音)ですよ!」ということを表しています。
ようするに、和声を構成する以外の音(非和声音)がメロディー上に装飾的に現れるときは小さく書いて、
それを親音(主音)に着地させるというのが、小さく記された「長前打音」の役割です。
長前打音ですが、実際の演奏では、例えばオーケストラとソリストといった場合、
装飾をどのくらい速く行うかなどはソリストが事前に決めることが結構あります。
(「長前打音が出てきましたら、今回はすべて8(16)分音符でお願いします!」などのように指示します)
復弦にまたがる装飾音、右手の弾き方は?
コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」 バッハBWV645より
赤丸のところはすべて復弦にまたがっての装飾となります。
右手を素早く弾く必要が出てきます。しかも、クッキリした音で弾きたいです。
そこでオススメの右手は「aimp」
aとmが高い方の弦、iとpが低い弦
最初はこの右手の弾き方に慣れるのに時間がかかりますが、
慣れると、素早く、しかも4つの音が明瞭な、美しい装飾を入れることが可能となります。
お試しください。